あまりかぜです。
日本人が開発した画期的ソフトウエアは良貨だったのか、悪貨だったのか。
です。
☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
◯: 映画ファンなら見る価値あり
△:無理して見なくてもヨシ
■感想
この映画は20年前とはいえ、現代の日本の縮図です。
一審は罰金刑。弁護側も検察も控訴し、最高裁で無罪が確定。この間7年以上かかっています。
金子氏のギフテッドな能力は時間の波に無惨に流されてしまったといえます。
今やIT界は日々進歩していて、技術者にとっては裁判に割いている時間などありません。
もし一審だけで結審していたらどうなっていたでしょうか。金子氏の名誉は回復されず、画期的でも違法性を問われれかねないソフトを作ろうとする技術者は現れない。代わりに、金子氏には新しいソフトを生み出す時間があったはずです。結果として、日本は理系離れが進んでしましました。
無罪を勝ち取ったものの、金子氏が1年半後に突然この世を去ってしまったのは本当に残念に思えます。偏った法治国家の日本で法律や当局が技術を阻害していては、斬新な技術が育だたない。このことをもう一度考える必要があります。
当時は、匿名性が売りのWinnyにアップロードした人物を特定した府警のサイバー班は大したものだと思ってましたが、その実、技術面以外は他の警察となんら変わりなかったんでしょうか。開発者を逮捕すれば済むと本当に思っていたのならとんでもないことです。
高木浩光氏「Winnyは適法に使えない」 - INTERNET Watch Watch
違法アップロードや、ウイルスによって秘匿情報が拡散してしまった社会的なインパクトを考えると、映画ではやや美化されている気もしますが、愛媛県警の裏金問題の証拠がWinnyによって漏洩されたことも描いています。Winnyの匿名性によって救われた現実もあったということ。
弁護士がこれから5年間をあなたのために使うと言うセリフにははっとしました。弁護団を作ってまで戦うってことは余程の覚悟がいるんですね。
金子氏の生き様が映画として見ることができてかなり満足です。それを当時ならWinnyを敵認定にしていただろう通信会社のKDDIが配給してるのは不思議な感じがしました。
プログラマー金子を演じた東出昌大は熱演です。文章を読むのも片言になるの彼が、ソフトについては立て板に水の如く喋り出すギャップ。サンマにかぶりつく時の不器用さ。どれも演技と思えないリアルさでした。
こんなに素晴らしい役者だったとは知りませんでした。彼もまた不倫問題でマスコミから必要以上の圧力を受けたから、役にのめり込んだのかもしれませんね。
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