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【映画】『オッペンハイマー』【評価と感想】

あまりかぜです。
クリストファー・ノーラン監督の最新作、見事にオスカーに輝きました㊗️

感想は基本的にネタバレです。

■オススメ度
です。

☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
◯: 映画ファンなら見る価値あり

△: 無理して見なくてもヨシ

■感想

原爆の父と呼ばれた理論物理学オッペンハイマーの半生を描いた作品です。
主に後半展開される監督独特の密室劇とも言える演出にはちょっと戸惑いました。
オッペンハイマーの主観はカラーで描かれ、観客は映画を通して彼の頭の中を体験していきます。対して戦後、商務長官を狙ったストローズのシーンはモノクロです。
この時系列がたびたび前後するので、暫くよくわからず、疲れました。
数学のようには扱えない政治力で、ストローズに苦戦するオッペンハイマー
映画ではストローズの一方的な逆恨みにしか見えませんが、ホントのところはわかりません。

実際のオッペンハイマーはかなり振れ幅の大きい人物だったらしい。戦後も原爆について肯定的な発言もあったそうです。
爆弾に対する彼の苦悩や葛藤は、かなり誇張されているみたいですね。それよりも彼は世界をどう見ていたのか、そこが大きな「問い」だと感じました。

監督が「問い」を意識しているのは周知のことで『バットマン ビギンズ』や『インセプション』に出た渡辺謙
「(問いが)常に映画の中にたゆたっている」
と述べています。

また核兵器の破壊力や非人道性といった恐ろしさにZ世代の若者があまりに無関心であることに不満があったそう。その証拠に、妄想の中で核に焼かれる若者を演じているのは監督の娘だそうです。

自分の手が血塗られてると言ったオッペンハイマーに対し、トルーマン大統領が言った言葉にも注目ですね。
「日本人は誰を恨むと思う?爆弾投下を決めた私だよ!」というセリフ。原爆投下が対ソ連用の脅しでもあったのは歴史的事実ですし、日本人の被害よりも自身の力を誇示したかったという事でしょうか。イギリス出身である監督からアメリカへの皮肉にも聞こえました。

原爆よりもはるかに強力な水爆開発には反対しつつも、核の拡散を見通していたオッペンハイマー
知ってしまったら元には戻れないというノーラン監督のテーマを具現化するには格好の人物だったのでしょう。しかし映画からオッペンハイマーのことが解ったと思うのはどうでしょう。

凡人に解るのは、せいぜいノーラン監督の思いの一端ではないのかな。

 

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kabutoyamagr.hatenablog.com