甲山ぐるぐる

あまりかぜのブログ

 
   

【映画】『オッペンハイマー』【評価と感想】

あまりかぜです。
クリストファー・ノーラン監督の最新作、見事にオスカーに輝きました㊗️

感想は基本的にネタバレです。

■オススメ度
です。

☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
◯: 映画ファンなら見る価値あり

△: 無理して見なくてもヨシ

■感想

原爆の父と呼ばれた理論物理学オッペンハイマーの半生を描いた作品です。
主に後半展開される監督独特の密室劇とも言える演出にはちょっと戸惑いました。
オッペンハイマーの主観はカラーで描かれ、観客は映画を通して彼の頭の中を体験していきます。対して戦後、商務長官を狙ったストローズのシーンはモノクロです。
この時系列がたびたび前後するので、暫くよくわからず、疲れました。
数学のようには扱えない政治力で、ストローズに苦戦するオッペンハイマー
映画ではストローズの一方的な逆恨みにしか見えませんが、ホントのところはわかりません。

実際のオッペンハイマーはかなり振れ幅の大きい人物だったらしい。戦後も原爆について肯定的な発言もあったそうです。
爆弾に対する彼の苦悩や葛藤は、かなり誇張されているみたいですね。それよりも彼は世界をどう見ていたのか、そこが大きな「問い」だと感じました。

監督が「問い」を意識しているのは周知のことで『バットマン ビギンズ』や『インセプション』に出た渡辺謙
「(問いが)常に映画の中にたゆたっている」
と述べています。

また核兵器の破壊力や非人道性といった恐ろしさにZ世代の若者があまりに無関心であることに不満があったそう。その証拠に、妄想の中で核に焼かれる若者を演じているのは監督の娘だそうです。

自分の手が血塗られてると言ったオッペンハイマーに対し、トルーマン大統領が言った言葉にも注目ですね。
「日本人は誰を恨むと思う?爆弾投下を決めた私だよ!」というセリフ。原爆投下が対ソ連用の脅しでもあったのは歴史的事実ですし、日本人の被害よりも自身の力を誇示したかったという事でしょうか。イギリス出身である監督からアメリカへの皮肉にも聞こえました。

原爆よりもはるかに強力な水爆開発には反対しつつも、核の拡散を見通していたオッペンハイマー
知ってしまったら元には戻れないというノーラン監督のテーマを具現化するには格好の人物だったのでしょう。しかし映画からオッペンハイマーのことが解ったと思うのはどうでしょう。

凡人に解るのは、せいぜいノーラン監督の思いの一端ではないのかな。

 

↓こんなのも書いてます。

kabutoyamagr.hatenablog.com

 

 

【映画】『デューン 砂の惑星PART2』【評価と感想】

あまりかぜです。
『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』でもお馴染みティモシー・シャラメが前作に引き続き主役です。
感想は基本的にネタバレです。

■オススメ度
です。

☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
◯: 映画ファンなら見る価値あり

△: 無理して見なくてもヨシ

■感想

IMAXで鑑賞しました。
映画を観るなら映画館!という人ならこの上なく満足できると思います。前作以上に見応え充分、呆れるほど美しい砂漠の景色、大迫力のサンドワーム。

ただし、物語は完結せず、またもや次回に続くという終わり方でした。
そもそもが壮大な物語である「デューン」。3部作程度では終わらないかも知れません。
84年のリンチ版でスティングが演じてたフェイド-ラウサも登場。ナイフでの決闘シーンはなかなかリアルでした。

フェイド-ラウサ

真のフレメンとなるであろうポールの妹の大人の姿は今回ちら見せだけ。
女だけの秘密結社がいよいよ暗躍し始め、単なる大領主との戦いでないと予感させるのも◯

フェイド-ラウサの子を宿す秘密結社の女

ビジュアル的に白人とかローマ帝国 vs イスラムやアラブ民という史実や世界状況を強く反映されていた感じで、そこにはあざとさもあるし、振り返ると、果たして160分を超えて見せるほどのストーリーだったのかなと思ってしまいます。

また編集がかなり雑に感じます。ポールが砂漠超えを試されるシーンなんか戻るシーンがないし、ポールが砂の民を率いて首都を奪還するまでもやけに短いです。

これはディレクターズ・カット版があるだろうと想像します。

それでも、袂を分かつことになったチャニのラストショットは印象的だし、見て損はなかった作品でした。

どうなるこの二人


↓こんなのも書いてます

kabutoyamagr.hatenablog.com

 

 

Dune

Dune

Amazon

 

【映画】『カラオケ行こ!』【評価と感想】

あまりかぜです。
歌を通してヤクザと中学生の奇妙な関係を描くファンタジックハートフルコメディです。
感想は基本的にネタバレです。


www.youtube.com

■オススメ度 
◯ です。

☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
◯: 映画ファンなら見る価値あり

△: 無理して見なくてもヨシ

■感想
劇場で観るのはある意味よし悪しです。

歌へたヤクザの狂児を演じる綾野剛が決してへたではないのがわかってしまうのです。

そもそも出てくるヤクザ役の方々、みなそんなに音痴でもない。無理しているのよくわかります。ここはマイナス。
狂児の相方を務める中学生、総実に齋藤潤。オーディションで選ばれた16歳。合唱部のソプラノパートなのに変声期に悩み、ヤクザを通して垣間見る大人の世界に翻弄される中学生という役どころです。
X JAPAN「紅」の高音をギリだせる男の子という絶妙のタイミングをうまく演じています。
現実には、昔と違ってヤクザと関係を持つのは相当リスクが高い訳で、そこをあえてスルーしてるのはファンタジーですね。
ただ、狂児が常識人の様に振る舞ったり、捨て犬よろしくずぶ濡れになるのを見るとほっとけなくなるのも解ります。
原作マンガはBL要素濃いめらしいです。映画の方も愛とは、と問うてげんきおまもりを渡そうとするなど、それなりのシーンはあるものの、中学生にあるあるの青春シーンとしか思いませんでした。ラストの熱唱には「愛」を感じるけれど。

合唱部から逃げ込む先が、再生しかできないビデオデッキで白黒映画を観る部、てのは映画ファンに刺さります。きっと亡くなった先生の遺品なんでしょう(ネット情報によれば白熱、カサブランカ三十四丁目の奇蹟自転車泥棒とのこと)。

卒業式後にすべてのテープを巻き終える演出も素敵です。

【おねがい③】
明日のTOHOシネマズ新宿さんでは、なんと【スクリーン9】で上映いただきます🫶🙌

とっても大きなスクリーンでご覧いただけますのでお時間ある方はぜひです……!たのしい絶唱応援上映もあります🫰🎤

👇https://t.co/8SlyvhwHwo#埋めたいこのキャパ#映画を見る部 #部員のみなさんpic.twitter.com/caoq0yIZJ6

— 映画『カラオケ行こ!』公式 (@moviekaraokeiko) February 10, 2024

作品の舞台は大阪の下町ですが、ロケ地は関東。どおりでミナミ銀座の空気感が大阪とは違います。これも劇場で観てこそ感じるというもの。
それにしても「」(の冒頭)って、こんな歌詞やったんやー。
ハートがめちゃ痛い
あんたが去ったとき、俺は振り返られへんかった
追いかけてしまいそうで怖い
あんたのマボロシ見てもうて、真実見つけに真っ暗な街を走ったでー
記憶の中のあんたは、俺の心の中で光ってるでー
ピカピカやー

 

↓こんなのも書いてます

kabutoyamagr.hatenablog.com

【映画】『PERFECT DAYS』【評価と感想】

あまりかぜです。
役所広司さんがカンヌ最優秀男優賞を取った映画を観ました。
感想は基本的にネタバレです。

■オススメ度 
◯ です。

☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
◯: 映画ファンなら見る価値あり

△: 無理して見なくてもヨシ

■感想
劇場で観ることをお勧めします。
驚きが2つありました。まず4:3という画面比率。なんでだろうと思ったら写真のL判とほほ同じサイズ。これに気づいた時は唸りました。
2つ目は渋谷区公衆トイレのデザイン。著名な建築家やデザイナーがデザインしたそうです。そもそも映画はこのトイレの認知度を上げるために企画されたみたい。こんなの見たら行ってみたくなるでしょ。

超寡黙な男が見せるラストの3分ぐらいの長回し役所広司の笑みがやがて泣き顔になる表情の変化。これを撮ったカメラマンは泣き出したそうです。

いや見事です。
劇中の「今は今、今度は今度」「変わらないなんてことはない」というセリフやキーとなる影と木漏れ日が印象的でした。
男は風呂なし安アパートで、70sのカセットテープを聞き、フィルムカメラを愛用します。質素を超えてレトロを地で行く暮らし。さすがに濡らした新聞紙で畳を掃く(役所の母親がやっていたらしい)のはやりすぎな気がしました。おそらく彼は元経営者一族で、父親と埋めがたい断絶ができ、家族と離れたんじゃないでしょうか。そして彼が行きついたのは、運転手付きでやってくる妹とは別の世界だったというわけ。繋がっているようでそうじゃない都会の姿です。

ヴィム・ヴェンダース監督はトイレにあるはずのリアルな現実は見せない。汚物だってあるだろうし、ゴミや落書きももっとあるはず。それらを撮らなかったのは監督の考えか、それとも渋谷区への忖度か(共同脚本は電通の方)。自転車の飲酒運転も気になるといえば気になります。

とはいえ。この映画は人間ドラマを装ったある種ファンタジー映画。そう思うとしっくりきました。

 

↓こんなのも書いてます

kabutoyamagr.hatenablog.com

 

 

↓寝落ち推奨本

↓もっと評価されるべき。でも100円

↓姪っ子がお気に入り

 

【Netflix】『Rebel Moon』『ポケモンコンシェルジュ』『ブルー アイ サムライ』他 短評

あまりかぜです。
年末年始はNetflix三昧だったので、2024年最初は、昨年配信されたオリジナル作品を評価したいと思います。

まずは、最新の話題作。

◆『Rebel Moon パート1 炎の子』
ザック・スナイダー監督によるSF大作。まんま『七人の侍』です。そこに『スターウォーズ』とか『アバター』のエッセンスを加えて出来上がり。画面から伝わる圧は強いんですが、いかんせんストーリーがつまらない。監督によればディレクターズカット版は別物とか。なら最初からそっちを配信してくれ。


www.youtube.com

◆『ポケモンコンシェルジュ
短いのでさくっと見れるストップモーションアニメ。
天国のような職場。転職できるなら絶対手を挙げてます。羨ましいです。
ポケモンの手作り感や、背景や小物の細部に至るまで造りこみが凄い。ストップモーションアニメの神髄を見た気がします。


www.youtube.com

◆『ブルー アイ サムライ』
外国から見た昔の日本。これはびっくりしました。日本人より時代劇を勉強して理解しているかもしれません。キャラクターに好き嫌いが出そうですが、底辺の人間たちの扱いと演出が見事です。
↓で第1話まるまる視聴できます。


www.youtube.com

◆『ノーウェア: 漂流』
スペインのサバイバル映画。女優さんは頑張っていますが、やはりちょっと都合よすぎるかな。でも、こういうワンシチュエーション映画は嫌いじゃないです。


www.youtube.com


↓こんな記事も書いてます

kabutoyamagr.hatenablog.com

【読書】2023年今年の本 『爆弾』 『本好きの下克上「女神の化身Ⅻ」』 『PLUTO』

あまりかぜです。
年末に熱を出してしまい、体調いまいち。
さて、今年印象に残った本の紹介です。

◆『爆弾』呉勝浩

判っていながら止められない爆弾。
強烈なキャラクターたちの頭脳戦も痺れます。久しぶりにヒリヒリする小説でした。
一見平凡な、ド直球のタイトルも秀逸です。

◆『本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身Ⅻ」』香月美夜

ついに完結。最後は電子書籍ではなく、紙の本を入手しました。紙だから意味があるんです。
最終巻は全体のエピローグ的な内容なので、それほど語るべきものはないんですが、とにかくついにここまで来たか、という満足感が詰まっている一冊です。
マンガ化やアニメ化はまだまだ続いていくようなので、ファンにはたまりませんね。

◆『PLUTO 1~8』浦沢直樹

言わずと知れた手塚治虫の『鉄腕アトム』のエピソードを浦沢直樹が新たに解釈し直したマンガ。
傑作です。今年アニメ化もされました。
実力ある漫画家がこうして過去の名作を引き上げ、リメイクしてくれることで、私たちも知ることができるわけですから、ありがたいことです。

次点にもう一冊

◆『シャドー81』ルシアン ネイハム

ジャンボ機が謎の戦闘機にハイジャックされる、というミステリー小説です。
古典ミステリーの名作として必ず名前が出てくる一冊ですがようやく読みました。
確かに名作と呼ばれるにふさわしい作品です。
デジタル社会の今、この小説を凌駕するには、作家はかなり勉強する必要があるんじゃないでしょうか。

↓こんな記事も書いてます。

kabutoyamagr.hatenablog.com

 

【映画】『ナポレオン』【評価と感想】

あまりかぜです。
有名な”白馬にまたがるボナパルト”に描かれているナポレオンは全くの別人だそうです。
感想は基本的にネタバレです。

■オススメ度 
です。
☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
◯: 映画ファンなら見る価値あり
△: 無理して見なくてもヨシ

■感想

アップル提供のTVシリーズの総集編だと言われたら納得してしまいそうです。
そもそもフランスの歴史をアメリカ人とイギリス人監督が再現しているので、違和感はかなりあります。当のフランス人はどう思っているのでしょうね

ナポレオンの最期の言葉は「フランス、陸軍、ジョゼフィーヌ」だそうですが、その言葉どおりの映画でした。というか、それだけでした。
あまりVFXに頼っていないであろう戦闘シーンは壮観ですが、そこは見どころじゃなくて、結局ナポレオンとジョゼフィーヌの2人が中心のお話でした。
一人の女を愛する男を描くことで、英雄と呼ばれた男とのギャップを見せたかったのでしょうか。
彼がなぜ英雄なのか、なぜ皇帝にまでなれたのか、どれほど国民たちに愛されたのかとかは全く解らないまま。
映画の中盤以降は、とにかく駆け足なので出てくるエピソードもほとんど消化できないまま。登場人物も誰が誰なのか理解できないまま。ジョゼフィーヌの連れ子はどこいったんでしょう。



↓こんなのも書いてます

kabutoyamagr.hatenablog.com

 

 

【映画】『ゴジラ-1.0』【評価と感想】

あまりかぜです。
これから見ようという人は、ぜひ音の良いスクリーンで、明るくなるまで席を立たないで頂きたいです。
感想は思っきりネタバレです。

■オススメ度 
 です。
☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
◯: 映画ファンなら見る価値あり
△: 無理して見なくてもヨシ

■感想

CGで描かれたマッチョなゴジラ。熱線を吐く前動作としてセーフティを解除していく様もなかなか良いです。このVFXと監督を担うのが(株)白箱の山崎貴


www.youtube.com
ゴジラ-1.0』は山崎監督がこれまで培ってきたVFX技術、海洋モノ、戦後モノのといった映画の集大成的な作品だと思います。

今回ゴジラに挑むのは自衛隊でも米軍でもない元軍人たちです。『キングコング対ゴジラ』のオマージュ的なバルーンも出てきます。
海神(わだつみ)作戦のBGMは「ゴジラのテーマ」。伊福部ミュージックはもはやゴジラのデザインと同様、アイコンですね。
作戦の肝となるのがゴジラを陽動する戦闘機。てっきりお役御免の艦上複葉機でも出てくるのかと思ったら、より画面映えする局地戦闘機震電でした。
後端がプロペラなので極めて難しい離陸を一発で決め、しかも意のままに操縦する主人公の敷島。実は天才パイロットでなんです。
他にも容器やケーブルの強度はどうなの、とか陽動艦隊死んでるよ、とツッコミたいところはあれど、なんとなく納得するのがゴジラ映画です。
しかしゴジラの最期へのシーンには賛否あるでしょう。軍人の性なのかもしれませんが、全員が敬礼する必要ないと思います。
そしてやっぱり生きていたヒロイン。東宝の秘蔵っ子を簡単に消せるはずはないとは思ってましたが、かなり無理があります。
(小説版によればG細胞に侵食され生き残ったらしい。そこまでは読み取れないよ)

さて、山崎監督が考えるゴジラとは何か。映像にいろいろヒントはあると思いますが、一番はエンドロールの最後、真っ暗闇で聞こえる足音と咆哮でしょう。劇場でのこの体感こそ、ゴジラだと思います。IMAXで観れてよかった。
ありがとうIMAX

そういえば橋爪功いましたよね。クレジットになかったけど。

↓こんなのも書いてます

kabutoyamagr.hatenablog.com

 

【映画】『ザ・クリエイター/創造者』【評価と感想】

あまりかぜです。
ちょうど浦沢直樹x手塚治虫のマンガ『PLUTO』を読んでいたので、ものすごい既視感に驚きました。

感想は基本的にネタバレです。

■オススメ度 
◯ です。
☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
◯: 映画ファンなら見る価値あり

△: 無理して見なくてもヨシ


■感想
SF映画の火を途絶えさせてはならない、そんな意気込みで作られた作品らしいです。
脚本と監督は『GODZILLA』『ローグ・ワン』のギャレス・エドワーズ。日本好きの監督なら、きっと手塚のアトムも知っているでしょう。
舞台は東南アジア、渡辺謙も出演しているせいか、あちこちに日本語やロケ地の言語が散りばめられています。

英語圏の人から見れば言葉が通じない異国の風景は、まさに人知が及ばないAIのロボット世界とダブるのかもしれません。
冒頭で米軍の大佐がネアンデルタールには文化があったがホモ・サピエンスが滅ぼしたと話します。我々こそ生き残る側だというわけですが、ロスに核が落ちたことでAIロボットを憎み抹殺しようする様は、単なる国家エゴの争いと変わりません。
一方、ニューアジアではロボットと人が家族として暮らし、僧侶さえ存在しています。それは決して「共存」ではなく「共生」です。これこそ手塚治虫が20世紀に思い描いた未来でしょう。

© 2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.

映画は人類VSロボットの戦争という体裁ですが、西洋と東洋、一神教多神教のという価値観の戦いという側面もあります。

このロボットたちが実に古典的。アルフィーと呼ばれるロボットだけ特殊な力を持っていますが、他の人型ロボットは穴が空いたくらいでは死なないけど、人並の能力しか持っておらず、人が持つ武器で戦っています。その姿にベトコンを重ねる人は少なくないでしょう。そして現実世界では、民主主義という大義を押し付けた方が負けています。

© 2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.

妻の居場所を知るアルフィーを助けるための行動が、結果としてロボットたちを助けるのことになっだけなのに、ついに救世主が現れた、みたいなラストシーンはやや安手です。彼女が成長してより大きな力を得た後に、ニルマータと呼ばれることになるのなら納得できますね。

また子供を連れたロードムービー的な場面もありますが、事が上手くはこび過ぎていて、逆に締まらなく感じてしまいました。

東京でも撮影されたそうですがどこに登場したんでしょう。地下基地潜入シーンか、ミサイルが飛ぶ街のシーンか。


↓こんなのも書いてます

【映画】『ジョン・ウィック:コンセクエンス』【評価と感想】

あまりかぜです。
キアヌ・リーブスのガン・アクション・ファンタジーがついに完結です。

感想は基本的にネタバレです。

「ジョン・ウィック:コンセクエンス」メインビジュアル
(R), TM & (c) 2023 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

■オススメ度 
◯ です。
☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
◯: 映画ファンなら見る価値あり
△: 無理して見なくてもヨシ

■感想
大阪、ベルリン、そしてパリを舞台にアクションの連続です。本人(59歳)のスタントシーンも多いみたいですね。
とにかく各パートのアクションシーンが長いです。それがこのシリーズの魅力でもあるから仕方ないのですが、特に大阪のホテルシーンは斬新さも少ないし、長すぎです。お約束のガラスの間での殺陣は、もっと短くて良かった。

「ジョン・ウィック:コンセクエンス」場面写真
(R), TM & (c) 2023 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

しかし後半のシーンは一味違ってます。
凱旋門前なんか道路を封鎖して撮影したのかと思ったら、別の飛行場で撮影したらしい。つまり凱旋門も車もCGです。だからドローン撮影も思いのままなんでしょう。

www.youtube.com

となると、階段もCGなんだろうか。アパートのシーンもドローンが大活躍した演出。ここの俯瞰アングルは面白かったです。
ジョンと双璧の実力を見せる盲目の刺客ケインをドニー・イェンが演じています。紛れもなくアジアを代表するアクションスターなんですが、真田広之と同じく、もう60代。早く後継者が出てきてほしいなぁ。
決闘でのどんでん返しはなかなか良かったと思います。決死の掛けに勝ったジョン。生にしがみつくものは死ぬ、みたいなケインとの会話は何か、あうんの呼吸で意図を感じます。

↓こんなのも書いてますkabutoyamagr.hatenablog.com

 

 

【映画】『グランツーリスモ』【評価と感想】

あまりかぜです。

実在のレーサーを題材にした映画を見てきました。

感想は基本的にネタバレです。

グランツーリスモwww.youtube.com

■オススメ度 
です。

☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
◯: 映画ファンなら見る価値あり

△: 無理して見なくてもヨシ


■感想

レースについてさほど詳しくない人向けに作られた感のある架空の映画です。

ネット上では肯定的な評判でしたが、ストーリーには斬新さがなく、あまりに王道的で、まるでディズニー映画や安っぽい子供向けのアニメのような印象でした。

ゲーマーがリアルの世界で成功することは一昔前は驚きでしたが、今や珍しいことではないでしょう。レーサーとしての体力や気力を身につければ、ゲームのテクニックが実際にも通用することになんの疑問はありません。実際、飛行機パイロットも多くの時間をシミュレーターで訓練しています。

にもかかわらず、映画ではゲーマーを見下すような演出をして、事故後にル・マンで成功するというストーリーは安直過ぎです。

グランツーリスモ

レースでのドライバー視点映像なんかは、ほんとうにゲームの世界を実写化しているみたいで迫力あります。さすが『第9地区』のブロムカンプ監督。そこは◎です。

実際のドライバー、ヤン・マーデンボローは、2011年にGTアカデミーでデビューし、F3を経て2013年にル・マンに参戦し、LMP2という2番目クラスで3位入賞。これは相当すごい実績です。ただし、映画のように日産ワークスとして参戦したのは2015年で、この年はマシンの準備不足が露呈しリタイアという結果に終わりました。さらに、サーキットでの事故はこれらの後に起きたそうです。

むりやり架空のル・マンレースを描く必要はなかったと思います。ル・マンという恐ろしく過酷なレースをゲーム出身のレーサーが走り抜いたという事実をして、ヤンの凄さ、特異さを描いてほしかったと思います。

イケメンでならしたオーランド・ブルームがGTアカデミーを立ち上げる中年の日産社員という役どころでした。ずいぶん貫禄が出ましたね。

 

↓こんなのも書いてます

kabutoyamagr.hatenablog.com

 

 

 

 

【祝】阪神タイガース セ・リーグ制覇~街の様子

あまりかぜです。

ついに阪神優勝。ファンの皆様、おめでとうございます!

特にタイガースを応援していたわけではありませんが、西宮に本拠地があるチームの大活躍には目が離せませんでした。

ニュースでは大阪が大盛りあがり、という感じでしたが地元はどうなのか、早速始まった優勝セールを中心に近所を覗いてきました。

まずは阪神甲子園駅周辺。

f:id:kbtymgrgr365:20230916153907j:image

f:id:kbtymgrgr365:20230916153927j:image

ローソンの店内にはスポーツ紙が山と積まれてます。意外と残ってました。今やデジタルでアーカイブできますからね。パインアメも豊富にありました。

タイガースグッズのお店はそんなに人はいませんでした。というのも優勝グッズは今はネットでしか扱ってない。店頭は9月28日(木)からとのことです。

hanshintigers.jp

お次は阪神西宮の阪神百貨店

f:id:kbtymgrgr365:20230916154008j:image

阪神・にしのみや | 阪神百貨店

2階の催し物は婦人ものを中心に賑わってました。

そしてメインスポンサーであるジョーシン

AREセール

阪神タイガース リーグ優勝おめでとうセール|Joshin webショップ

こちらはかなり気合入ってますね。六甲おろしが店内に鳴り響いてました。

f:id:kbtymgrgr365:20230916154059j:image
f:id:kbtymgrgr365:20230916154054j:image

しばらく店内にいましたが、飛ぶように売れていたのが大阪市に本社があるこの炊飯器。

f:id:kbtymgrgr365:20230916154416j:image

炊飯器は象印か、タイガーを買っとけば間違いないです。

ちょっと気になったのは各店の優勝エンブレム(というのかな?)の少なさ。

f:id:kbtymgrgr365:20230916154201j:image↑これは駅のポスター

マジックが1桁になってから最短で優勝したので間に合ってないんでしょうね。

日本盛の煉瓦館でも優勝セールやってたり、ひっそりやってるとこもあるみたいなのでどんどん街に繰り出しましょう。

まあ、なんといってもセールの本番は日本シリーズの後でしょう。

阪神なんば線シリーズを期待してます。そん時はオリックスのラッピング電車を走らせたら面白いですね。

 

 

【映画】『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』、『キングダム 運命の炎』【評価と感想】

あまりかぜです。

だいぶ間が空いてしまったので、簡単に映画を2本評価です。

どちらもシリーズもののアクション映画、邦画の『キングダム 運命の炎』と洋画の『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』です。

感想は基本的にネタバレです。


www.youtube.com

まずは、『ミッション:インポッシブル』から

■オススメ度 

です。

☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
◯: 映画ファンなら見る価値あり

△: 無理して見なくてもヨシ


■感想1

あらゆるIOT機器に侵入し意のままに操るAI。装置のみならず人間の行動を学習し未来を予知する能力さえ持っています。『ヨルムンガンド』の量子コンピュータとか『攻殻機動隊』の人形遣いかと思いました。

CIAやIMFなどの機関が、アナログの旧式な手段で情報を扱うのが面白いですね。でもスマホは普通に使っている。

この映画の目玉がアクションシーン。カーチェイスや列車のシーンは実際にセットを使って撮影され、トムはもちろん役者たちの演技が際立っています。やっぱりCGを駆使してごまかす他のアクション映画とは迫力が異なります。

しかし、ストーリーはやや分かりにくく、ヒロインの一人である泥棒グレースに魅力を感じにくい部分もあります。結局のところ、鍵を手に入れても新たな情報が明らかになる訳でもなく、もやもやしたままパート1は終了。

次は、ロシア原潜を巡る戦い。全ての謎に答えはでるのか。

パート2は来年夏以降に公開予定です。

 

続いて『キングダム 運命の炎』

■オススメ度

です。

 
■感想2
邦画の大作といえども予算が違うので、ハリウッド映画とは全く比較になりませんが、騎馬兵がスクリーンいっぱいに映し出される様は圧巻ですよ。
えい政や楊端和の話は短くして、100分ぐらいに収めたほうが締まった気がします。
信が飛信隊という名をもらい初めての武功を上げるクライマックス。でもね、突撃シーンのショボさはどう贔屓目に見てもTVドラマレベルです。
ほう煖vs羌かい、そしてほう煖と王騎の因縁の対決は次回に持ち越しなんですが、大丈夫ですかこのシリーズ。劣化する前に止めたほうがいいと思います。

↓こんなのも書いてます

kabutoyamagr.hatenablog.com

 

 

【映画】『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』【評価と感想】

あまりかぜです。

先週公開された映画を鑑賞してきました。前作が傑作だったので、いつもより早めです。

感想は基本的にネタバレです。


www.youtube.com

■オススメ度

です。

☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
◯: 映画ファンなら見る価値あり
△:無理して見なくてもヨシ

■感想

各々のアースごとに独自のアートスタイルで描かれたアニメーションも見事ですし、圧倒的な情報の洪水とスリリングな演出に頭がクラクラしそうです。

これを大画面で観ないのはかなりもったいない。マイルスとグウェンのスイングシーンは、アニメ『進撃の巨人』の立体機動を参考にしたとのこと。

戻ったグウェンの「このマスクがあたしにとってのバッジなの」という父親との会話は劇中のベストシーンです。ここからのクリフハンガーでグウェンの見せる覚悟。自分の居場所がないのなら、作るしかない。アバンでのくだりが、最後に生きてきます。

でも、2時間半かけて、さあこれからというところで「続く」は正直残念です。

もしマイルスがクモ42に噛まれなければ、ピーター・パーカーがキングピンの加速器を止めることができたとか、マイルスがスパイダーマンになるべきではなかったとかは、ただのAIによる後付のシミュレーションに過ぎません。

そもそもアース1610にクモ42が紛れ込んだのが間違いなのに、マイルスを非難するミゲルの反応はやや感情的です。そのミゲル自身もスパイダーマンとしての出自に謎があるみたいで、おそらく次回作『ビヨンド・ザ・スパイダーバース』で明かされることでしょう。

本作は、あくまで舞台の設営に過ぎず、それに2時間半はやや長すぎる気もしますが、この尺が必要だったのかどうかは、来年の次回作まで確かめられませんね。

マーベルが主導したマルチバースの概念は、他社のヒーロー映画やアカデミー賞作品にも広まってきました。4年前には、「バース」ってなに?と思っていたのに、まったくものすごい勢いです。

↓こんな記事も書いてます。

kabutoyamagr.hatenablog.com

 

【映画】『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』【評価と感想】

あまりかぜです。

吹替版を鑑賞してきました。

5/7の報道によれば、世界興行収入が11億ドルを超えたそうです。大型連休中は非常に混んでいました。

感想は基本的にネタバレです。


www.youtube.com

■オススメ度

です。

☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
◯: 映画ファンなら見る価値あり
△:無理して見なくてもヨシ

■感想

ファミコンスーパーマリオしか触ったことがないので、マリオの世界をどれだけ楽しめるのか不安でしたが、あまり気にする必要ありません。

f:id:kbtymgrgr365:20230509170612j:image

突然、布袋寅泰の新・仁義なき戦いやa-haのtake on me、ボニー・タイラーのheroなどが聞こえてきて驚きました。

目の前の課題をクリアすればOKという、ゲームをまるごと映画にした作品です。

f:id:kbtymgrgr365:20230509170702j:image

細かなストーリーは二の次になっていて、そこはやや不満。ブルックリンの水漏れの原因は何だったのか、カメの魔法使いは倒されたのか、クッパは元に戻るんじゃないのか、そしてピーチ姫はどこへ行ってしまったのでしょうか。さらに、アンティークと紹介された店も何の伏線でもなかったですし、ピクサー映画の様などんでん返しもありませんでした。

まあ、キノコ王国に配管修理の需要があるのか、みたいな大人の詮索はしないで楽しめば良いのです。

とりあえず聞き覚えのある音楽と魅力的なキャラクター満載のアトラクション映画でした。

ちなみにクッパの歌うピーチ姫の歌は大人気になってますね。
www.youtube.com

↓日本語版も


www.youtube.com

イルミネーションなので、続編はほぼ確実でしょう。次はヨッシーの活躍が見られるのかもしれませんね。

(C) 2023 Nintendo and Universal Studios

 

↓こんなのも書いてます

kabutoyamagr.hatenablog.com