あまりかぜです。
全編IMAXで撮影された映画を観てきました。
感想は、ネタバレです。

☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
◯: 映画ファンなら見る価値あり
△: 無理して見なくてもヨシ
3時間近いですが全く苦にならなかったし、飽きることもありませんでした。
発端であるトロイア戦争を改めてまとめると、ミケーネ王アガメムノンを総大将とする古代ギリシャ諸国が、エーゲ海の果てにあるトロイアに仕掛けた戦争です。
ギリシャ側には、(妻ヘレネを奪われた事が戦争の一因になった)スパルタ王メネラオスや、イタケ王であり知将でもあるオデュッセウスがいました。神の子アキレスが無敵の活躍をするのもこの戦です。
戦争は長期化。ギリシャ連合軍は撤退したと見せかけ、木馬を女神アテナへの捧げ物だと偽って残します。城内に引き入れられた木馬に潜んでいたギリシャ兵が内側から攻撃し、城塞は陥落する、という話。
有名な木馬作戦は、実はゼウスの掟を逆手に取った作戦であり、いわば禁忌を犯す行為でした。
ゼウスの掟とは、客人はもてなし、逆に客人はもてなしを乱用せず、互いに敬意を払え、という神ゼウスとの契約です。
オデュッセウス曰く、人ならざる行為でトロイアを蹂躙したので、彼は苦悩するのです。
そのためか、トロイアからの帰還では様々な試練に遭い、色々忘れて本人は20年経っても帰れないままです。
この神々の試練が本作の見どころです。
IMAXで見る映像と音の迫力はハンパありません。もはや想像さえできれば、そこに制限はないのでしょう。SFX云々と言っていた時代は、過去のもの。
しかし、誰も見たことのない古代ギリシャ神話の映像なのかというと、それほどでもありません。「これが見たかったんだ」というものでもないのです。
単純に映像だけなら、『デューン』の方が凄いと思います。
なお、ベストシーンはアガメムノン王が開いた城門の先で仁王立ちしてるところ。闇の中に浮かび上がる黄金の装飾に痺れました。
本作は人物名を除けば比較的わかりやすく、ストーリーの仕立てもシンプルで、面白味はあまりありません。
「ストレートな冒険譚として観てくれ」ということでしょうか。この点は、これまでのノーランらしくないです。
将来、映像技術への驚きが薄れたとき、この映画におけるノーランらしさが何なのかは、議論の的になるでしょう。
ですが、ノーラン作品が単純なハッピーエンドでは終わるはずもありません。
記憶を取り戻したオデュッセウスは、祖国への帰還を果たします。この彼の生還こそが、各国で恐れられていた「海から来る災い」でした。
すなわち、ゼウスの掟や神々との約束は守られず、人の欲望が増幅してゆく時代の始まり。人と神々の世界の終焉です。
罪と後悔を身をもって知ったオデュッセウスは、死者を弔うために妻ペネロペを連れ、西の誰もいない地へ漕ぎ出します。
おそらく、彼らは二度と戻っては来ないでしょう。
冥界で彼が何をしようとも、一度開いた地獄のフタを閉じることはできないのです。
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