甲山ぐるぐる

あまりかぜのブログ

 
   

【映画】『バビロン』【評価と感想】

あまりかぜです。
またしても3時間超えの映画です。
しかし、途中で退屈することは全く無く、最後まで突っ走りました。
バビロンにいるのは誰なのか。
感想は基本的にネタバレです。


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■オススメ度

 ☆

です。

☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
○: 映画ファンなら見る価値あり

■感想

監督はデイミアン・チャゼル。『セッション』『ラ・ラ・ランド』を見てわかるとおり自分で書き、音楽が絡んだ作品は抜群に面白い。

バビロンとは「ヨハネの黙示録」において支配者たちが贅沢や欲望などの邪悪を撒き散らす罪深き場所とされ、最後は神の怒りによって破壊されます。

舞台はサイレントの末期。スターやスタジオ(まだセットと呼ばれている)らのバビロンはやがてイノベーションと大衆という神々によって終焉を迎えます。

主な主人公はサイレントの大スター、映画界に憧れる男、女優志望、黒人トランペッターの4人。

100年前の映画の世界で、ときに彼らが出会い別れ、狂気に翻弄されていきます。
むせ返るような喧騒。西部開拓時代のような何でもありの撮影と夜毎のパーティー
華やかな世界の闇でうごめくギャングたち。さすがにこれはTVでは見せられませんね。


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非常に興味深いと思ったのが黒人のトランペッターの存在です。

なぜ彼を登場させたのでしょうか。もちろんトーキーの普及にジャズ演奏が一役買ったという事実はあるでしょうが、彼なしでも映画は成り立ちます。

おそらく、バビロンという異常な世界にもまともな精神を持つ人間がいた事を示したかったのでしょう。その役目にジャズ奏者を持ってくるのはチャゼルならではのセンスです。

ギャングに追われた女に、男が愛してると求婚する様は、サイレントスターが観客に笑われるセリフそのままです。スクリーンに投影されてると途端に陳腐に感じてしまうリアル。映画の恐ろしさもわかるシーンです。

時を経てLAに戻った男は街で映画を見ます。それは自分たちが過ごした時代を描いた『雨に唄えば』。


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そして映画は現代までの100年に作られてきた作品を走馬灯の如く映し出していきます。

実に印象的で、ここだけ何回でも見たくなるモンタージュですが、話そのものとは関係なく、考えるとわけがわからない。

多分このシーンだけは主人公は観客です。われわれ映画好きは未だバビロンの住民なんだと伝えたいのでしょう。

 

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【映画】『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』【評価と感想】

あまりかぜです。
前作公開から12年、大ヒットになったCG巨編の続編を見てきました。
2部作(3部作?)の前編です。
感想は基本的にネタバレです。


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■オススメ度

 ◯ 

です。

☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
○: 映画ファンなら見る価値あり

 

■感想

上映前に『ミッション・インポッシブル』のメイキング映像がありました。

これがスリル満点です。YouTubeでも見れますが、IMAXで見る断崖には声が出そうになります。トム・クルーズ、バケモンか。


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さて、上映時間3時間12分で、IMAX3Dだとお値段もほぼ倍。その価値はあるかと言われると微妙です。

3D映像は凄いし大画面なのに家のTVかと思うぐらい近くに感じます。が最新の機材でもやっぱり暗いし、色もくすんでしまいます。

正直なところ2DのIMAXがいい。座りっぱなしだし、偏向メガネのせいもあって頭も体も疲れました。

もはやフルCGといっていい映像は確かに驚異的です。人の動作以外、鯨の水しぶきなんかも全てCGだし。もう何でもできそう。

一番の見所はこのCGによるパンドラの水中生物です。実写の水中映像ではできないクリアで極彩色の世界には圧倒されます。宣伝通り、大画面で映像を体験したい人向けの映画です。

一方でストーリーは無理やり3時間にしたような展開でした。ジェイクの息子は1人で十分。そして2時間程度に収めて欲しかった。

来年12月公開の続編のために兄の死が必要だったのかもしれませんが、この長男もさほど印象的な活躍しないで退場だから、ほんとによくわかりません。

むしろ父親(のアバター)を助けたスパイダー君、どうなるんだろう。

マーベル映画のようなクリフハンガーもなく、あっさり海の民編が終了です。次こそ大佐と決着をつけるんでしょうね。

世界での大ヒットに比べると、日本の興行は見劣りするために大コケと揶揄されていますが、要するにあまり映画を見ないライト層とリピーター層の取り込みに失敗したと言う事でしょう。

じゃあ、その訳はなんだろうかと考えると、
 ① 前作を知らない(昔は公開前によくあったTV放映もなかったし)
 ② キャラに馴染めない(冬なのに青一色の宣伝。トカゲっぽい青い顔を見たいと思わない)
 ③ 3Dが煩わしい(今や3Dテレビもない。しかも3Dだと高い)
 ④ キャッチーな話題性がない(視覚効果だけ。踊りが凄い『RRR』とか、トムの『マーヴェリック』とは違う)

という感じでしょうか。ならばアニメやTVシリーズの映画に流れるもの道理です。

↓見たいですか?

 

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Avatar: The Way of Water [12 inch Analog]

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【映画】『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』【評価と感想】

あまりかぜです。
アメリカでは前作に引き続き大ヒット、日本では『すずめの戸締まり』攻勢もあってか、あまり客足は伸びていない様子の映画です。
感想は基本的にネタバレです。

■オススメ度

 ◯ (字幕版で)

です。

☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
○: 映画ファンなら見る価値あり

 

■感想

日本語吹替版を見ましたが、主役シュリの吹き替えはももいろクローバーZ百田夏菜子。彼女の声で覚悟のセリフを言われても、萎えてしまいます。アイドルとしてはむしろ上手いと思います。がキャラと声質が全く合ってません。

前作のラストでワカンダを開国して、どうなるかと思ったら案の定、ヴィブラニウムを巡って大国とのいざこざが絶えない様子。

そこへ、もう一つのヴィブラニウムを持つ国、タロカン帝国が現れ、新たなブラックパンサーが誕生するわけです。

marvel.disney.co.jp

全編通じて感じるのはチャドウィック・ボーズマンの喪失感です。最後まで引きずってます。

理解は出来ますが、追悼映画にしたってヒーロー映画としてはどうなんでしょうか。全然前向きじゃない。

ブラックパンサーは予想の範疇とはいえ、線が細すぎる気がします。ブラックパンサーとは試練を経た、精神的にも屈強な人間に与えられる力だと思っていたので尚更です。

SFXや戦闘シーンにも特別新鮮味はありません。海中バトルはライバルであるDCの『アクアマン』を先に見ているし、似てないと言うのは無理です。

ハート型のハーブが復活し、シュリが戦士として成長しないのであれば、早急に次のブラックパンサーが現れて欲しいものです。

MCUとしては幕間の扱いですが、トニー・スタークを継ぐ天才リリの初登場であることは注目でしょう。

 

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【映画】『さかなのこ』【評価と感想】

あまりかぜです。
お魚大好き、さかなクンのエッセイを原作にした映画を見ました。
感想は基本的にネタバレです。

オススメ度

 ◯ 

です。

☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
○: 映画ファンなら見る価値あり

■感想

内容的には◎でもいいと思いましたが、2時間半は長い。長過ぎる。90分は無理だとしても、2時間に収めて欲しかった。長い時間が苦にならないアクション満載の映画じゃないし、アート系作品でもないんです。

邦画はもう少し商売的な面も考えて映画を作っていかないとだめです。将来お先真っ暗です。そこだけがマイナス。

主人公のミー坊はお魚が好きで、他のことはお構いなしの子。母親だけは理解を示し、マイペースのまま大人になります。

魚関係の仕事をしようとしても、仕事より魚に目が行ってしまう彼に、世の仕事はなかなか務まりません。

そんなミー坊を、周りの大人は普通じゃないと言います。いわゆる痛い子扱いです。でもそれって好きの対象が「魚」だからですよね。

「魚」を「サッカー」とか「歌」とかに変えてみたら?。寝ても覚めても「将棋」の事ばかり考えてる少年が、プロになるのは全然ありでしょ?

要は彼がマイナーでニッチな存在だから、変わっているとか、大人にもなって、とうそぶくわけです。

ミー坊の描くイラストの実力なら、いずれ世に出たかもしれません。では劇中に登場するギョギョおじさんと彼(=現実のさかなクン)との違いは何なのでしょう。

さかなクンがどんなに唯一無二の存在であったとしても、紙一重でギョギョおじさんになっていたかもしれないのです。

映画では、程度の差はあれ成功した大人がミー坊に手を差し伸べました。そうした結果、彼は社会で自分の居場所を見つけることが出来たのです。

結構シリアスな映画です。

一日タバコをふかしている理容師や、両親が別れていたり、母子家庭になった同級生がいたりと、成功した大人ばかりではないこともしっかり描いています。

「好きこそものの上手なれ」とは言いますが、好きなことを突き詰めていくことと成功することは、イコールではないのが厳しい現実ですね。

小説 映画 さかなのこ

この映画では男性であるミー坊をのんが演じています。

冒頭でどどんと宣言している通り、男のくせに、女のくせにといったセリフもなかったですし、彼女の中性的な魅力のお陰もあって、ミー坊の特異性が際立ち、映画全体が優しい雰囲気になったと思います。

のんの抜擢は大正解でしょう。

ところでウエットスーツを着たミー坊が足ひれを付けたまま道を歩くシーンがありますが、歩きにくく、前進するのはとても危険です。

絶対マネしちゃダメです。

あと、水槽が地震でどうにかならないのか、ハラハラしました。

 

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▽こちら原作

 

 

【映画】『ブレット・トレイン』【評価と感想】

あまりかぜです。
ブラッド・ピットの最新作は、日本を舞台にしたアクション映画でした。入洛したそうです。

https://twitter.com/du_books/status/1567019593587396608

面白いのはてんとう虫のセラピーウンチク。なかなかいいこと言ってます。

「怒りは和平までの時間を長くする」「君との間には壁がある。が窓があるんだ」とか。

繰り返し語られるのが「運」の話。

そういえば、原作・伊坂幸太郎の小説には「運」がキーワードになってるものが多いですね。

ラスボスがすべての黒幕、というのはややインパクトに欠けます。伏線の回収も驚くほどじゃない。

それでも原作の持つ非日常さをエンタメとて昇華しているところは見どころです。

この楽しさ、バカバカしさはさすがハリウッド映画だ、と再認識しました。

 

 

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▽こちらが原作

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【映画】『キングダム2 遥かなる大地へ』【評価と感想】

あまりかぜです。
制作費が普通の邦画の3~4倍らしい『キングダム2』を見てきました。
感想は基本的にネタバレです。

 

■オススメ度

◎ 

です。

☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
○: 映画ファンなら見る価値あり

 

■感想

原作は雑誌連載分を読んてただけなので、記憶が遥か彼方になってますが、端折ってるところが結構あったように思います。

たぶん一番違うのは羌瘣(きょうかい)が女だとバレるところ、そして生い立ちが分かるところでしょう。映画の流れとしては納得できます。

なにせ長い原作なので下手すると緩急なく出来事をなぞるだけになりがちですが、ストーリーは上手にまとまっていたと思います。

魏の呉慶と秦の麃公との決戦を舞台に、半端ない存在感の王騎も絡めて、信や羌瘣のアクションがふんだんです。

ワイヤーアクションに頼っていないところでの清野菜名の切れある殺陣は、本作の見どころでしょう。衣装が一向に汚れないのは邦画あるあるです。https://kingdom-the-movie.jp/

彼女は魏に向かうみたいですが、パート3の予告には登場しているで次作での活躍も期待したいです。

他のキャスティングの中でも尾平は出色。まんま尾平だよ。https://kingdom-the-movie.jp/なんかイケメン。誰だよ)

国王だろうと、天下の大将軍だろうと当然のように横に並んでいる信にはツッコミを入れたくなりますが、童ゆえの放漫でしょうか。

ラストに登場する呂不韋、ちょっと早口なのはイメージと違ってました。自分で名乗るように真正の黒幕だからもう少し上から目線でも良かったと思います。

馬が多数登場する大規模な合戦シーンは中国スタッフが頑張ったんでしょうね。予想してたより迫力ありました。https://kingdom-the-movie.jp/

一方、壁や麃公がアップになるような合戦シーンでは国内で撮影されたのか、フレームが固定で動きがあまりありません。この落差は残念です。コロナ禍での撮影は相当苦労したようですがそれは言い訳でしょう。

 

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【映画】『トップガン マーヴェリック』【評価と感想】

あまりかぜです。
前作から36年、『トップガン』の続編がついに劇場公開となりました。
感想は基本的にネタバレです。

■オススメ度

です。

☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
○: 映画ファンなら見る価値あり

■感想

もちろんIMAX版で鑑賞です。

IMAXカメラで撮っているわけだし、音だって半端ない。単に戦闘機の爆音がすごいというのではなくで、例えば空母シーンでのドーン!という波の重低音なんかは普通版では絶対に再生できないでしょう。

そもそも『トップガン』は大好きな映画。なので贔屓目ですが、冒頭から流れてくるトップガンのメインテーマ、そこからの甲板シーンで流れるデンジャーゾーンはたまりません。散りばめられいる1作目のオマージュのようなカットの数々。

パイロットは職業じゃない。俺そのものだ」と熱く語るトム・クルーズだからこそ出来た続編ですが、それだけじゃなかった。続投となるヴァル・“アイスマン”・キルマーとの信頼や友情の物語でもあるのです。

ヴァルは実際にガンとなり声がでないそうです。最後に会話するシーンはAIによるものだそうで。泣けます。

 
 
 
 
 
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前作のケリー・マクギリスに変わりヒロインはジェニファー・コネリー。彼女もアラフィフとは思えない美しさでトムの存在感をさらに引き立ててます。

役者たちはトムが考えた訓練やカメラ操作もこなしたそう。今回トムは主役兼プロデューサーですから、トムの要求は絶対なのです。


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彼らのリアルな表情を映したF-18の空撮シーンもさることながら、冒頭でマッハ10を叩き出すダークスター機や第五世代機のSu-57はCGがこれまたよく出来ていて、IMAXで観ても実機かと見間違う。

それもそのはずでエンドロールではデジタルアーチストの名前だけで画面が埋め尽くされてます。空中での動きなんかは相当こだわったんでしょう。

このSu-57と前作の主役F-14ドッグファイトも胸熱でした。「パイロットの差」を見せつける名シーンです。

2年の延期期間が在りましが、劇場で見れてほんとに良かった。

2度目はぜひとも吹替版のIMAXで見てみたいです。セリフの細かいニュアンスが字幕とは違ってるいたいです。

 

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↓前作のサントラでは割愛されていた「火の玉ボーイ」も収録されてます。

 

【映画】『犬王』【評価と感想】

あまりかぜです。
600年前に実在した稀代の能楽師・犬王。彼を大胆に解釈したミュージカルアニメを見てきました。
感想は基本的にネタバレです。

■オススメ度

 ◯ 

です。

☆: 是非とも劇場へ。傑作

◎: できれば大画面で

○: 映画ファンなら見る価値あり

 

■感想

監督は湯浅政明、脚本は野木亜紀子。そして音楽は大友良英。そんなわけで、期待度は高かったんですが、やや期待外れでした。

鑑賞中に思った事をつらつらを書くと、

・歌詞の字幕が欲しい。
・楽曲が単調。
・やっぱりアニメは動きが第一。

といったところです。


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この劇中歌にハマる人は、とことん楽しめる映画だと思います。

犬王演じるアヴちゃんや琵琶法師の森山未來はミュージカルに恥じないパフォーマンスを披露してくれます。

でも劇場では歌詞は出ないので、かなり集中して聞いていないと何を言っているのかわかりません。現代語ではあってもやはりロックだし、語られない平家の物語はとても良いのに音楽しか感じられないのでは面白みが半減です。

で、その音楽もエレキやドラムで演奏されていて、同じ曲調の繰り返しが長い。はっきり言って飽きます。

楽曲の導入部は映像と同じように琵琶と太鼓で演奏すればよかったのに。いつの間にか現代楽器になっていてもそれは構わないと思います。

音楽自体は、ちょっと嗜好とは合わないものでしたが、アニメーションの肝となる動の表現は素晴らしい。アニメらしい構図や手法が全く嫌味なく発揮されてます。

湯浅監督作品はあまり陰影をつけず、のっぺりした絵で表現されているキャラクターが多かったのですが、本作では最小限の立体感を持っていて、ほとんど気になりません。

そんな犬王の演舞シーンは、劇場で見る価値は大いにあると思います。これはさすがに否定出来ない。「鯨」の演出は見ているだけでも楽しいものでした。


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ストーリーは手塚治虫の「どろろ」を思い出してしまいました。自らの野望を子を犠牲にしてでも成そうとする執念は、怨念そのものです。

 

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【映画】『THE BATMAN-ザ・バットマン-』【評価と感想】

あまりかぜです。
リブート版バットマンを見てきました。全米ではすでに3.319億ドルと本年最高の収入を叩き出してます。
感想は基本的にネタバレです。
 

■オススメ度

です。

☆: 是非とも劇場へ。傑作

◎: できれば大画面で

○: 映画ファンなら見る価値あり

 

■感想

IMAXを初体験しました。行こう行こうと思っていながらズルズル機会を失っていたのですが、ようやくです。

最近洋画の大作はIMAXで撮影されるので、シネスコサイズで上下が切られることもなく、製作者の意図した通りの画面で鑑賞することが可能です。

これを体験すると従来のものは物足りなく感じます。見るなら、真ん中から後ろで中央寄りの座席がよろしい。パワフルでクリアーな映像と音響を存分に味わえるからです。それが+600円なら元は取れると思います。

特にバットモービルの登場シーンは鳥肌モノの重低音でした。

IMAXレーザーはさらにアップグレードされてるらしいので、いつか見てみたいですね。

今回のリブート版はクリストファー・ノーラン監督版「ダークナイト」やホアキン・フェニックスの「ジョーカー」ほどのオリジナリティはないかもしれないけれど、十分面白いです。世界観は「ジョーカー」に近いかな。

退廃した街(CGでしょうか。見ごたえある街です)の暗闇から現れ、犯罪者に恐怖を与える男、バットマン。目的は両親を奪った犯罪への復讐です。

そのバットマンが犯罪者リドラーを通して過去を知り、物語のクライマックスでは光を掲げ暗闇の中、人々を導いていく様に変容していく。

テロとの戦い以降、アメリカが信じる正義とは何かをテーマにした映画はたくさんありますが、一人では目的を達せられないと変わっていくバットマンの姿は暗示的です。

ゴッサムシティを洪水で恐怖に落とすリドラー。洪水だけでも多数の人命が失われてしまうのを知っているだけに、日本人からすると、かなりトラウマなシーンです。

そのリドラーに隣の独房から語りかける男はジョーカーだそう。次回作に出るのならば、これまでの作品とどう違いを出すんでしょうね。

ブルース・ウェインバットマンを演じるのはロバート・パティンソン。バットスーツを着ると190cm近くになるみたい。色白の風貌は夜行性のバットマンとぴったりで、意外と悪くないです。

ペンギンはコリン・ファレルですが、特殊メイクのせいで言われても全くわからないです。

セリーナ/キャットウーマンはゾーイ・クラビッツ。スタイル抜群でアクションもこなせる。これから引っ張りだこになるかもしれません。彼女は街から去って行きますが、バットマンたった一人で街を変えていくこと無い気がするので、いずれ戻ってきそうです。

ダークな雰囲気は嫌いじゃないですが、ストーリーはごちゃついていて少しお粗末でした。そのくせ長いし。スパイ探しが重要なポイントと言っておきながら、結局一番怪しいファルコーネがスパイでラスボスだったでは、何のひねりもないです。

IMAXで見てなかったら、評価はもっと低かったかもしれません。

ついでに言うと予告編(特にUS版)はネタバレ満載すぎて見てはいけない地雷モノでした。


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【映画】『DUNE/デューン 砂の惑星』【評価と感想】

あまりかぜです。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の最新作を見てきました。この監督の『メッセージ』『ブレードランナー2049』、どちらも結構好きな作品です。
感想は基本的にネタバレです。

■オススメ度

◎ 

です。

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■感想

原題に”Dune: Part One”とあるように前編です。知らないで見たら面食らうかもしれません。
本当の評価は後編を見てからになると思いますが、前編だけでもかなり濃密な映像となっていて飽きませんでした。

1984年のデビット・リンチ監督による旧版は、

砂の惑星の我が物にせんとする男爵によって父の公爵を殺された子が、新たな力を手に入れ、男爵とその背後にいる皇帝に戦いを挑んでいく英雄譚』

でした。当時の貧弱なVFXのせいもあって、自分の中での評価は高くありません。アクションシーンは随所にありましたけど、いかんせん尺が足りず小説のストーリーを上辺だけを追っかけ、世界観なんかは衣装などの美術に頼り切っている面がありました。あと男爵家がとても気色悪かったです。

リメイク版となる本作、前編のストーリーはほぼ同じ。最新のVFXはさすがに迫力満点で、宇宙船の巨大感や、砂漠の美しさなど、美術もリンチ版に負けてません。

普通にSF大作の名に恥じない仕上がりになってると思います。

画面の切り取り方が独特だなあと思っていたら、IMAXフィルムで撮ってるので一般スクリーンだと上下がかなりカットされてるんですね。ここはちょっと残念です。

DUNE デューン 砂の惑星 特集: 評価・あらすじ・感想 IMAX体験レポート 圧倒的な今年のNo.1作品、“究極の映画体験” に没入せよ (3) - 映画.com

この前編だけで150分を超えているものの、それでも駆け足な気がします。皇帝とアトレイデス公爵家、そしてハルコンネン男爵家との関係をもう少し描いてほしかった。フラッシュバックされる娘の映像は多すぎです。

リンチ版でロックスター、スティングが演じて、強烈な印象を残した男爵の甥は本作では登場しません。特定の敵役は設けていないのかな。


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後編では銀河を股にかけ、今回は姿を見せない皇帝との聖戦が描かれることになるはずです。しかしコロナ禍の影響を受けてか、スタートダッシュに失敗し、制作の雲行きは怪しいらしい。

続きが気になる作品なんですが、どうなるんでしょう。

 

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 【映画】『ゴジラVSコング』【評価と感想】

あまりかぜです。
TOHOシネマズやMOVIXはいつまでディズニーと喧嘩するつもりなんでしょうか。
まさか『ブラック・ウィドウ』が見られないとは思っても見ませんでした。だってマーベルだぞ。『ジャングル・クルーズ』も上映しないなんて。頭にきます。
さて、ようやく日本でも公開された怪獣映画を見てきました。
感想は基本的にネタバレです。

■オススメ度

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■感想

 ゴジラとして3作目、コングの2作目となるのが本作。<破壊神>vs<守護神>というキャッチコピーでしたが、悪役のボスキャラとして出てくるのがメカゴジラでした。そうなると、共闘するという筋書きは見えてきます。

ストーリー的には、特にひねりもなく、面白くもなんともありません。だがこうゆう超大作バカ映画、嫌いじゃない。

詰まるところ、より巨大になったコングと躊躇なく熱線を吐きまくるゴジラが香港を舞台に暴れまくるというその一点を見たいかどうかで評価が決まります。

香港のビル群が細部まで作り込まれてて、飛び回るコング。破壊しまくるゴジラ(とメカゴジラ)。

劇場で観ると迫力が違うよ。後悔はしていません。

彼らの対決だけが見どころなのですが、人間側のドラマもあると言えばあります。

重力なんちゃらの設定は、その後の展開を見るとなるほどあると便利だな、という気はしますが、その壁?を突破しようする場面を光で表現するのは想像力の欠如ですね。『パシフィック・リム』の穴設定の方が遥かに説得力があります。

ゴジラのエネルギー源とやらをどう表現するのかと思ったら、光る地面を解析するだけでした。データがあれば地上で再現できる、と。すげーな、おい。

挙句の果てメカゴジラとギドラの頭骨とまだ回線が繋がってるから、操作パネルに酒をぶっ掛けて壊そう!と。さすがにこのシーンには笑ってしまいます。

そんなんで回線が切れるわけがないでしょ。人間側のお話はこれまで以上にガバガバ過ぎて呆れるばかりでした。一応前作『KOM』から継続して出演している人もいますが、その必要は全くありません。芹沢博士の息子がメカゴジラを操縦する必然もないですね。でもこれ意図的でしょう。

多分作り手も怪獣だけの映画を見て欲しかったんじゃないでしょうか。喋らないゴジラやコングの表情を見ているだけでも伝わってくるものがありますからね。それでは映画として成り立たないので人間ドラマのパートを無理やりくっつけた気がします。

何度も言いますがゴジラとコング、メカゴジラと、モンスターたちの肉弾戦だけを劇場で見て満足すべき作品です。

 

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【映画】 『映画大好きポンポさん』 【評価と感想】

あまりかぜです。
久々に劇場に足を運んで観てきました。
結論から言うと、これは観るべき映画です。
感想は基本的にネタバレです。

■オススメ度

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■感想
とにかく全てのシーンが愛おしい。

映画好きを自称するなら、絶対見てほしい一本です。

なぜなら、映画編集を正面から扱った映画だからです。

映画を題材にした映画にハズレ無し。ポンポさんの外見で判断して観ないのはとても勿体ことをしてます。

原作の第一巻を自粛期間中に読んでいて、映画化をとても楽しみにしてました。なので、判官びいきはあるかもしれません。

特に前半はテンポもいいし、二度見前提のような細かい描写も見ていて楽しいです。例えば、

スイスでポンポさんの頭に蝶がとまっている。

フルート奏者が怒鳴られる二度目、マーティンが投げつけるのは楽譜ではなく台本。

フランちゃんも出ている(セリフあったんだ)。

ポンポさんの赤い椅子が気になる。モデルは何なのだろうか。

ランチア・デルタインテグラーレのスポイラーがほぼ垂直(只のファッションですね)。

「人生は選択の連続だ。友達も、生活も、仲間も切って」いく主人公のジーンくん。その過程は、一種狂気です。

延々と続く編集作業。この作業の意味を彼なりに見つけるわけですが、結果、とんでもない事を言い出します。これは原作にありません。

映画の編集を一番のクライマックスとする、と監督は提案書に書いたそうですが、実写の編集も手掛け「夢にポンポさんが出てきて怒られた」という今井氏と監督へのインタビューを読むと、本編90分ぴったりとするのにも、相当苦労したのが判ります。

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原作にいないジーンの同級生アランくんが登場するのが後半です。

オリジナルキャラである彼はいらないんじゃないかと思ってましたが、ジーンの言い放った新たな問題を解決するためには、たしかに必要です。

前代未聞のプレゼンはさすがにフィクションでなかったら、コンプライアンス的にまずいです。でももし問題をポンポさんだけで解決していたなら、只のお仕事アニメになっていたに違いありません。

夢に向かって生きているのは映画人だけじゃない。

アランやSNSの反応といった一般人を描くことで、夢の実現には、外の世界の誰かが手助けしなきゃならないときだってあるということをリアルに感じることができます。

大変な時ほど、体調管理。これはマストですね。

残念なのは公開劇場数が意外と少ないことです。阪神間では尼崎や神戸で公開されてますが、西宮OSには来ませんでした。

ロングランされるといいですよね。近いうちに塚口サンサン劇場でかかる予定はあるみたいです。

↓映画のシーンをふんだんに使った挿入歌MV(「例えば」花譜)


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【ビデオ】 『新聞記者』 【評価と感想】

あまりかぜです。
2019年の映画賞で軒並み高い評価を得た邦画です。ようやく見ました。
感想は基本的にネタバレです。
 

■オススメ度

です。

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■感想

 この映画がロードショウ公開できて、ちゃんと評価されたのはとても素晴らしい事。ツッコミどころはあるものの邦画もなかなか頑張ってます。

現実には実態が全く不明な内閣調査室が、政府の意向によって世論誘導や暗躍していたら、というサスペンスフィクションです。

ノンフィクションのお仕事ドラマでも、熱血記者の青春ドラマではありません。


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ネタを追う新聞記者と仕事に疑問を感じ始める内調の官僚。女性記者のシム・ウンギョンの演技が見どころの一つです。たどたどしい日本語ながら鬼気迫る演技が光ります。思いつめ言葉を発しようとする彼女のラストショットは見事でした。

ただ記者部屋では手ブレのカメラワークが多用されとても気持ち悪かったし、いくらなんでも記者が一般人の顔がわかる写真をツイートしたら駄目でしょ。

松坂桃李がもうひとりの主人公である官僚を演じています。信頼していた元上司が自殺する前にやたら焦って連絡を取ろうとするし、子供が生まれても笑顔一つ見せない。そこまで追い込まれているのはわかりますが、ちょっとやりすぎ感があります。北京というとてつもなくインテリジェンスの高い大使館で勤務してたのなら、騙し合い、化かし合いには慣れているはずなのにね。

この二人、あまりに真っ直ぐで、使命感ありすぎです。役どころとして演じきったシムや松坂は大したもんですけれども、モーレツが当たり前の昭和ならいざしらず今の時代、も少し視野を広くして生きようよと感じてしまいます。正義を貫くことも大事ですが、それだけが人生じゃないんですよ、と言いたい。

既存メディアが必ず正しいという前提はないに等しいし、かといって一部のSNSを鵜呑みにするほど国民もバカではないと思いたいのですが、どうでしょう。

現実は小説より奇なり、もまた事実なのです。

 

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新聞記者

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  • 発売日: 2019/10/23
  • メディア: Prime Video
 

 

 

【映画】『ノマドランド』【評価と感想】

あまりかぜです。
ことし、最もアカデミー賞に近いと言われる作品を見てきました。
 →第93回アカデミー賞 監督賞、作品賞、主演女優賞 3冠達成!!
感想は基本的にネタバレです。
 

■オススメ度

 ◯ 

です。

☆: 是非とも劇場へ。傑作

◎: できれば大画面で

○: 映画ファンなら見る価値あり

 

■感想

見る者の年齢や社会的立場なんかで、全く印象が異なるであろう作品です。

おそらく若い人が見れば将来が見えず悲観的と感じるでしょう。しかし人生後半を過ぎた人が見れば、こんなところにも希望が有ると思うかもしれません。

最愛の夫、夫が愛した仕事も町さえ無くした初老の女が車上での放浪生活を始めます。映画が切り取る彼女のノマド生活は実にリアル。

 ↓原作はこちら

ノマド 漂流する高齢労働者たち
 

 

基本、悪い人間は出てきません。出会うノマドたちはほぼ高齢者。みな何かを抱え様々な理由でてノマドとなってます。そのきっかけの多くが家族。旅立つ原因も、戻っていく先も家族なのです。

彼らを見て、「お前はどう感じるか」という問いを映画は突きつけます。

仕事漬けで時間に追われる生活はゴメンだというのは実にもよくわかります。でもこの日本で、大自然を感じるだけでテクノロジーの享受なしに暮らすのもまっぴらです。

だからもやもやしてしまう。手放しに大絶賛はできません。

主人公ファーンは誘われても定住せず、旅を続ける選択をします。岩場で1人きりになったり、荒れる早朝の海を見つめる彼女ならそうするだろうと、想像はできます。決して孤独が好きだからじゃない。愛するものがなくなった自分が存在するのにふさわしい場所がここではない、と感じたからでしょう。

あるいは、いつか自殺した息子に会える気がするというコミュニティー主催者の話が腑に落ちのかもしれません。いつか会える、会わなくていいと思える日まで彼女は旅するのです。


主人公のファーンにフランシス・マクドーマンド。『スリー・ビルボード』で見事な演技を見せたオスカー女優です。

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彼女の存在なくしてこの映画のリアリティはなかったでしょう。オスカーの最有力ってのはウソじゃありませんでした。

 

 ↓クロエ・ジャオ監督の前作。こちらも高評価の作品です。

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【映画】試写会の思い出【雑記】

あまりかぜです。

90年代の終わり頃から10年近く、かなり試写会に行ってました。

ネット応募なんか全くない時代なので、当然ハガキで応募です。「コツ」さえあれば結構な確率で当たりました。

入場券は大抵ペア(2枚)なので、相方の都合が悪ければ映画ファンに上げたり、もらったり。試写会好きって多かったんです。これも大いに利用しました。まだマニアはいるんでしょうか。

多いときは週2回ぐらい試写会へGo。当時の職場が、大阪キタとミナミの中間だったのも幸いしてました。

今はなき厚生年金会館中ホールや中之島のリサイタルホールとかよく行きました。御堂会館、新大阪メルパルクホールも試写会場の定番でした。

めったに当たりませんでしたが中之島フェスティバルホールという第一級の会場もタダで入れたんですからすごいもんです。

とはいえ映画館でない会場は当たり外れが大。イベント会場にパイプ椅子を並べただけ、てのもあったな。宣伝のためにタダで見せてもらうんですから、多少のことは目を瞑りますけどね。

朝日生命ホールも椅子が悪かった。2時間見ているとケツが痛くなってきたもんです。しかもここはアリーナだけで、前の人の頭で字幕が見えないこともありました。流石に改修されたかな。

 

思い出深い作品はキアヌ・リーブス主演の『マトリックス』(1999年)。

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普通、試写会見たらそれでおしまいなのですが、試写会で2回、その後のロードショーでも見たのはこれだけ。あまりに衝撃的な映像表現で、VFXの革命を感じました。もちろん映画が大ヒットしたのは御存知の通り。

いち早く見れたのはほんとに良かった。これぞ試写会の醍醐味です。

 

そんな試写会も2008年頃から、行かなくなりました。仕事場が移動したり、忙しくなったのもありますが、一番の原因は、TOHOシネマズが西宮にできたから。夜遅くだろうと、朝早かろうと、歩いてでも行ける。近いは正義ですね。

nishinomiya-gardens.com

大スクリーンはもちろんですが、音響とか雰囲気とかやはり餅は餅屋です。たった1,000円(サービスデー)で最新設備の劇場で映画が見れたわけですから、そうなるとしょぼい会場で我慢して見る気は起きないです。

2021年はハリウッド映画が軒並みネット配信に移行するそう。ネットやTVで映画を見られるのは、とてもありがたい。隠れた名作に出会えるし、忙しい時や、映画をあまり見ない人に間口を広げる意味でも有用です。

それでも映画好きを自認するなら、基本は劇場やろ、と思うのですよ。

 

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